降下なければ効果ナシ

サクラマスは、川の上流で生まれ、海に下って成長し、
また川を上流まで遡上して産卵を行なうサケの仲間です。
降海前の稚魚と、降海せずに川で一生を過ごすオスは、
ヤマメと呼ばれ、渓流釣りの人気魚種です。
サクラマスは高級魚であり、水産資源としても重要です。
しかし、各地のダム建設など河川環境の悪化に伴って漁獲量は激減し、
北海道の現在の漁獲量は、年間500トン程度、1970年代の1/4になっています。
●二風谷ダム魚道・降下の効果は0.7%
ダムを建設して、かつサクラマスを最低限にでも保全するためには、ダムを親魚が遡上したら(ほとんどしていないけど)、こんどは生まれた稚魚が、ダムを下ることができなければなりません。
今回も、日高地方を流れる沙流川に建設された二風谷ダムを例として、魚道をとおって川を下るサクラマス稚魚の実態について見てみましょう。
北海道開発局は、二風谷ダム魚道の、サクラマスの降下に関する効果について、「経年的に魚道を降下していることから、親魚は沙流川に回帰している」と、ダム等フォローアップ委員会の了承を得て、自己評価しています。(2008年第169回国会参議院質議)
二風谷ダムには、洪水調節主ゲート(7門)、左岸クレストゲート(5門)、右岸クレストゲート(1門)、魚道、発電用水路(利水放流口)といった、多数のゲートが配置されています。
このうち、日常的に放流を行なっているのは、発電用水路(30m3/s)、魚道(0.3m3/s)、洪水調節主ゲート(放流量不定)です。

北海道栽培漁業振興公社が行なっている降下調査の結果では、発電用水路をとおって降下したのは81%、主放流ゲートをとおって降下したのは18%、魚道を通って降下したのは0.7%でした。
二風谷ダムの魚道は、開発局の自己評価とは正反対に、サクラマス稚魚の降下には、ほとんど役に立っていないことが明らかです。

サクラマス稚魚は、ダム湖の中を、上流から下流に向かいます。ダム湖の最下流であるダム堤体には、複数の放流ゲートがあります。
魚がダムを見て、「このゲートが魚道、あのゲートは発電用水路」など区別するわけはありませんから、流量が大きな発電用水路に入ってしまう魚が多いのは、当然のことです。
ダム堤体に設置された二風谷ダム方式の魚道は、流量が小さいというだけで、降下の効果も著しく小さくなります。

●ダム堤体を通過できる稚魚は7割
では、降下のために、発電用水路に入った81%のサクラマス稚魚は、無事に下流にたどりついているのでしょうか。
平取ダム計画に先立って、アイヌ文化保全の観点から平取町がまとめた「アイヌ文化環境保全対策調査」の報告書では、発電水路に入ったサクラマス稚魚の行方に関する報告がされています。

この報告によって、発電用水路を下るサクラマス稚魚の17%は、発電機のタービン羽などによって損傷しており、また18%は、下流に到達できずに、途中で分岐する農業用水路に迷いこんでしまっていることが明らかになりました。
二風谷ダムの発電用水路を下る81%のサクラマス稚魚の35%は、下流に無事に下ることができないのです。
これは、ダム堤体を下るサクラマス稚魚全体の28%になります。
魚道を下るサクラマス稚魚は全体の0.7%ですから、ダム堤体の通過時に失われるサクラマス稚魚の数は、魚道の降下数の40倍です。
●魚道と関係ない自己評価
「親魚は沙流川に回帰している」という開発局の自己評価も、魚道の効果(ほとんどない)とは関係ありません。
サクラマス親魚は、沙流川にまったく回帰していないわけではありません。しかし、二風谷ダムを遡上できるサクラマス親魚は、年平均6尾しか確認されていません。
降下調査についても、天然魚だけでは魚が少なすぎてデータが得られないため、毎年1万尾〜6万尾もの稚魚(降海型スモルト)を、ダムの上流に放流して行なっています。
魚道を下る0.7%のサクラマス稚魚の中の、さらに少ない天然魚と、魚道を遡上する年間数尾のサクラマス親魚の関係は、きわめて小さいと考えるのが当然。
「魚道の効果」が積極的に評価されるのは、膨大な稚魚放流によらずとも、サクラマス、ヤマメを中心とした沙流川の魚が、ダム建設以後にも、生息数.魚種ともに維持される場合だけです。
魚道設置に80億円を費やすも、二風谷ダムの現状は、「魚道の効果」とはほど遠いと考えるのが一般的でしょう。
◆二風谷ダムを遡上したわずかなサクラマスが、ダムの上流で正常に産卵活動を行なっているのか、そして自然状態として正常に稚魚が育ち、降海しているのかどうかは、確認されていません。「天然魚だけでは魚が少なすぎてデータが得られない」というのが、北海道栽培漁業振興公社が報告した事実です。

サクラマス稚魚は、ダム湖の中を、上流から下流に向かいます。ダム湖の最下流であるダム堤体には、複数の放流ゲートがあります。
魚がダムを見て、「このゲートが魚道、あのゲートは発電用水路」など区別するわけはありませんから、流量が大きな発電用水路に入ってしまう魚が多いのは、当然のことです。
ダム堤体に設置された二風谷ダム方式の魚道は、流量が小さいというだけで、降下の効果も著しく小さくなります。

●ダム堤体を通過できる稚魚は7割
では、降下のために、発電用水路に入った81%のサクラマス稚魚は、無事に下流にたどりついているのでしょうか。
平取ダム計画に先立って、アイヌ文化保全の観点から平取町がまとめた「アイヌ文化環境保全対策調査」の報告書では、発電水路に入ったサクラマス稚魚の行方に関する報告がされています。

この報告によって、発電用水路を下るサクラマス稚魚の17%は、発電機のタービン羽などによって損傷しており、また18%は、下流に到達できずに、途中で分岐する農業用水路に迷いこんでしまっていることが明らかになりました。
二風谷ダムの発電用水路を下る81%のサクラマス稚魚の35%は、下流に無事に下ることができないのです。
これは、ダム堤体を下るサクラマス稚魚全体の28%になります。
魚道を下るサクラマス稚魚は全体の0.7%ですから、ダム堤体の通過時に失われるサクラマス稚魚の数は、魚道の降下数の40倍です。
●魚道と関係ない自己評価
「親魚は沙流川に回帰している」という開発局の自己評価も、魚道の効果(ほとんどない)とは関係ありません。
サクラマス親魚は、沙流川にまったく回帰していないわけではありません。しかし、二風谷ダムを遡上できるサクラマス親魚は、年平均6尾しか確認されていません。
降下調査についても、天然魚だけでは魚が少なすぎてデータが得られないため、毎年1万尾〜6万尾もの稚魚(降海型スモルト)を、ダムの上流に放流して行なっています。
魚道を下る0.7%のサクラマス稚魚の中の、さらに少ない天然魚と、魚道を遡上する年間数尾のサクラマス親魚の関係は、きわめて小さいと考えるのが当然。
「魚道の効果」が積極的に評価されるのは、膨大な稚魚放流によらずとも、サクラマス、ヤマメを中心とした沙流川の魚が、ダム建設以後にも、生息数.魚種ともに維持される場合だけです。
魚道設置に80億円を費やすも、二風谷ダムの現状は、「魚道の効果」とはほど遠いと考えるのが一般的でしょう。
◆二風谷ダムを遡上したわずかなサクラマスが、ダムの上流で正常に産卵活動を行なっているのか、そして自然状態として正常に稚魚が育ち、降海しているのかどうかは、確認されていません。「天然魚だけでは魚が少なすぎてデータが得られない」というのが、北海道栽培漁業振興公社が報告した事実です。
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