検証!サンルダムの目的 -堤防の危険区間(名寄川)-

名寄川(天塩川合流点〜サンル川合流点)で、とくに堤防の越流や決壊に対する注意が必要な区間を示したのが、上の地図です(クリックで拡大します)。
サンルダム計画の治水根拠とされる1981年8月洪水では、名寄川流域の約1200ha(サンルダムの湛水面積の3倍以上)もの浸水被害が生じました。しかしまた、先の記事で見たように、この水害で、名寄川の水が堤防から溢れたところはなく、ほぼ全てが「内水氾濫」によるものでした。この洪水の名寄川の水位は、堤防を越えるどころか、周囲の地盤高よりもさらに低く、内水氾濫は、名寄川の河川水位とは関係なく発生していたものです。
名寄川の水害対策としては、内水氾濫対策が非常に重要なことがわかります。しかし、名寄川の水位と関係ない内水氾濫に対しては、サンルダムの効果はありません。そして、現在の河川整備計画では、現実に発生した大規模な内水氾濫に対する、調査・分析・対策は、一切行われていません。
さて、1981年洪水では、名寄川の水位が低く済みましたが、未知の大洪水の際には、もっともっと名寄川の水が増え、堤防から洪水が溢れたり、あるいは決壊してしまうかもしれません。今回は、名寄川の堤防で注意が必要な区間と、そこで必要な対策を検討します。

上のグラフは、名寄川の堤防の高さと、河川整備計画で想定する1500m3/sの洪水が流れたときの水位、そして河川計画上の最高水位とされる「計画高水位」を比較したものです。
なお、名寄川の近年40年間最大の洪水は、2006年10月の洪水です。このときの名寄川の最大流量は、真薫別で870m3/s程度でした。
1500m3/sという大洪水に対しては、名寄川の右岸側に、堤防の高さが不足している区間があります。この大部分は、あまり規模が大きくない農地のため、今回は左岸側についてみていきます(右岸側の農家さんごめんなさい。右岸側の検討は機をあらためて行います)。
名寄川の堤防は、ほとんどの区間では想定する洪水流量(1500m3/s)や計画高水位に対して、2m以上の余裕高があります。名寄川の規模では、法令で定められている余裕高は1mですから、堤防の高さには、法令の2倍以上の余裕があるということです。
名寄川の、天塩川合流点からサンル川合流点の間では、名寄川の水が堤防を越えて溢れたり、堤防が決壊するおそれは、非常に小さいと考えてよいでしょう。
※北海道開発局によれば、堤防の高さは十分でも、厚みが足りない部分があるといいます。このようなところでは、厚みを増す工事が必要です。
しかし、天塩川合流点の直近と、名寄市七線橋付近は、想定する洪水流量(1500m3/s)の水位に対して堤防の余裕が小さいため、注意が必要です。
【A:天塩川合流点直近】
天塩川本流の水位の影響を大きく受けるため、サンルダムを建設したとしても、ダムの効果は半減してしまいます。サンルダムで名寄川の流量(水位)を下げても、そのぶん天塩川本流の水が入ってくるためです。名寄市の住宅密集地にも近く、堤防のかさ上げ等の強化が必要です。
※実際の大洪水では、堤防がない右岸側の農地に水が溢れるため、グラフのとおりには水位は上がらないかもしれません。
【B:名寄市七線橋付近】
川幅が狭い上に堤防が低く、越流や堤防決壊の恐れが大きい区間です。サンルダムを建設したとしても、ダムのみでは効果が小さすぎて解決できません。ダムの有無にかかわらず、堤防強化や、部分的な河道掘削等が必要です。
![]() | 名寄川七線橋付近の堤防 名寄川の下流区間で、もっとも川が小さいところ。 農地が川側(左)にせり出している。 現況堤防のかさ上げ、河道掘削、あるいは道路の盛土等の対策が必要。 空撮画像はこちら。 |
![]() | 名寄川の堤防の様子 向かって左側が川。 名寄川サンル川合流点より下流区間の大部分では、堤防の周囲に余裕がある。 堤防かさ上げや腹付け等の強化は容易であろう。 |
◎各空撮写真はヤフー地図を使用。






